幸せな苦悩
いつもいつも、当たり前だけど、頭の中は菓子屋の営業の事で一杯である。特にお店を開けてから一年もたっていないので、営業日では無い日は、買出し、経理、営業、通常の仕込みに加え、季節菓子の試作に追われているので、休みは取りづらくなってしまった。月に一回休めれば良い方だけど、それはある意味、仕事の手際の悪さを露呈している様で、本当はあまり大きい声で言いたくない。ただ、人に営業日以外は何をしているの?と聞かれるので、そうとしか答えられないのだ。
先日、桃の菓子を試作した。本当に美味しいものが作れたのだけど、原価がどうしても高くなってしまい、商品のラインナップの中でも超高級品になってしまう。しかし、どうしても商品化してみたい気持ちが抑えれず、昔の記憶を頼りに、安い桃が手に入る場所まで車を片道1時間半ほど、走らせた。結果的に、長距離運転のかいなく、その日の販売分の桃は売り切れてしまい、手にすることは出来なかった。落ち込みながら、厨房に戻り、試作しようか悩んでいた、ずんだ餅を作り始めた。完成形が見えなかったので、手を出すのを躊躇っていたのだ。作りながら頭に浮かぶのは、桃に費やした時間とお金、安価な桃に手を出した自分への後悔が頭を巡る。そんな気持ちを引きずらない為にも、作業に一生懸命集中した。実際手を動かしてみると、それまでの苦悩が報われるかの様に、これだこれだと、、、気持ちにフィットする菓子が目の前に現れた。私の菓子作りは、いつもこんなマイペース。大変だけど、本当に、本当に幸せな苦悩だと思う。
店頭では、来週から。そして、一足早く、今週末の8月5日、岡谷市にあるfab space hana_reさんで開催される、Sunday market 、出店時に持って行きます。皆様のご来店お待ちしております。